俺は、敗北者
孤独で臆病なチンピラ
傷だらけで汚れたクズ野郎
孤独で臆病なチンピラ
丸3年。首を長くして待ち望んでいた世界中のファンに対して、BIGBANGが選んだ最初の曲の最初の一言は、まさかのLOSER。
「俺は敗北者」で始まるこの衝撃的なカンバックに、世界中のファンは度肝を抜かれたことでしょう。私はもちろんその一人でした。鳥肌でした。
「これはもしや、メンバー自身の心の闇を歌った一曲ではないのか」と、歌詞とビデオを読みこんで、今はそう感じています。
以下に、MVのシナリオをメンバーごとにまとめてみましたので、MVと見比べてみてください。
GD: 富も力も手にするも、天涯孤独な男。高価な車に乗り、大勢の人間を従え、上品な衣服を身につけているものの、虚しく、惨め。部屋でも独り。物を破壊し、鳴らない受話器をとる。孤独の果てに街へでてはみるものの、街並みにも人混みには馴染めず、ついには孤独の果てに、崩壊するかのように交差点の真ん中で倒れる 。
V.I.: 清潔で上品な印象の、一見普通のいい男。しかし、彼女にフられたのか。彼は突如感情を爆発させ、他人の車や自宅の家具を破壊する。そして、彼女を追いかけ回し、電話をかけ続ける。最後に彼女に会うことはできたものの、突き放される。
Sol: 信仰を失った経験があるのか。それとも、人を信じること自体を諦めてしまった人間なのか。十字架には Sin Will Find You / You Will Find Sinと、路面には Whatever satisfies the soul is truthと書きなぐり、瓦礫の中を彷徨う。最後は限界を感じたのか、自らが書いた十字架の上に身を投じる。かつて信仰していた神のように。
D-LITE: 小さな商店を営む寡黙な男。しかしある日、ギャングに絡まれ、暴行をうけ、彼女にもらったハンカチで侮辱される。その日以来、鏡の前で復讐を誓う。タフな男になろうとはしてみたが、繊細で臆病な心は変わらず、涙する。最後はギャングを打ち負かすのだが、思い出のハンカチは忘れ去られてしまう。
TOP: 白い手袋や白塗りの部屋からわかるように、異常なほどの潔癖性。自己中な主張、他人に自分の物に触れられることを嫌う完璧主義者。冒頭では愛に満ちた優しい男に見えるが、女が彼のアートに触れたのか、気に触れたのか、その瞬間豹変しバイオレントな一面を見せる。そして、彼女を傷つけて(又は殺めて)しまい、薄汚い裏路地に、血の付いたガウンのまま跪く。潔癖で完璧だった人生が崩壊する。
ここまで詳細かつ丁寧な描写が可能だったのは、おそらく、メンバー自身を表現しているからこそなのではと、私は推測しています。メンバーの心に潜む醜悪さを、美しいメロディーにのせた珠玉の一曲。
ちなみに、今回BIGBANGの新アルバム『MADE』は8つの新曲で構成させています。それを2曲ずつ4ヶ月に分けて発表するのです。その第一弾の『M』がこの『LOSER』と『BAE BAE』なのです。
他にも同時に製作している曲がある中で、この曲をスタートを選んだわけだから、それだけの自信と期待がこの曲には含まれていると思っていいわけですね。かつてないほどに赤裸々な「I’m a loser」の一言に。
「俺らはまだ死んでない」と、挑発的にバンドの再生を誓う一言で始まる前回のアルバムとは180度反対のコンセプトですね。
“悪魔を歌った天使の旋律”。期待を裏切り、期待を超越する。BIGBANGのさらなる進化に、聴く度に痺れます。
みふゆ
コメント
コメントを投稿